ニュージーランドと日本の小学校では、どのような違いがあるのでしょうか?
ニュージーランドへの海外移住や子供の留学を考える際、教育方針の違いも知っておきたいですよね。
日本は「受け身な詰め込み学習」とよく言われます。
ニュージーランドの教育方針は日本とどう違うのでしょうか?
実は、ニュージーランドの幼児教育は世界4位の高評価を得ています。
今回はニュージーランドと日本の小学校の違いと、ニュージーランドの教育方針について解説します。
ニュージーランドと日本の小学校の違い!

日本の4月入学が世界では少数派なのは有名ですが、他にも違いがたくさんあります。
日常的な違いを見ていきましょう。
具体的な例に関しては、息子が通う小学校を例に挙げていきます。
学年区分の違い
日本では、7歳〜12歳の6年間小学校に通います。
4月入学3月卒業です。
一方ニュージーランドでは、5歳の誕生日を迎えると政府から小学校(Primary school)の入学許可が下ります。
6歳の誕生日を迎えるまでに入学することが義務付けられています。
入学日は子供によって違う為、入学式はありません。
5歳から11歳(0Year〜6Year)までが小学校の期間です。
12歳から13歳はIntermediate Schoolに行きます。
地域によっては13歳(8Year)までのFull Primary Schoolもあります。
日本の小中一貫校のようなものです。
日本のように毎年必ず進級できるわけではなく、各生徒の能力によって留年もあり得ます。
これはニュージーランドと日本の教育方針の違いによるものです。
日本の小学校では、授業についてきていない子がいないか気を配り、皆で一緒に進むことを目指します。
一方ニュージーランドでは、個人の学習ペースに合わせます。
親と学校が話し合って、学年を一つ下げることも。
入学時期がばらばらなので、進度が違って当然という感覚になりますね。
年度と学期区分の違い
日本の小学校は、ほとんどが3学期制ですよね。
長期休みは夏休みが約1か月、冬休みと春休みが約2週間となっています。
一方ニュージーランドは、4学期制です。
各学期は10週間。
秋から春にかけての3学期間は8週間学校に通い、2週間はスクールホリデーになります。
夏の1学期間はクリスマスと新年を挟み、10週間のうちの半分ほどがスクールホリデーとなります。
そう、ニュージーランドのクリスマスは夏なんです!
ニュージーランドは南半球に位置する為、日本とは四季が逆転するんですね。
そして夏休みを終えた1月下旬から、新年度が始まります。
さて、入学日が子供によって違うというお話を先程しましたよね。
学年に関しては、1~2学期中に入学した場合は1Year。
3~4学期中に入学したら0Yearになります。
持ち物の違い
ニュージーランドでは、ランドセルではなくリュックサックでの通学となります。
ちなみに現地では、リュックサックのことをバックパック(Backpack)と呼びます。
バックパックの中身はお便り袋、水筒、お弁当です。
教科書やノートは入っていません。
ランドセルが重い上に、教科書やらノート、筆箱や体操服など、結構重かった記憶があります。
それに比べると、息子のバックパックの中身はたったこれだけ(笑)

リーディングホルダーとランチボックス(スナックとフルーツ、お弁当箱が入っています)、水筒だけ。
荷物が軽くて羨ましい限りです。
授業の違い
日本のように文科省指定の教科書はありません。
クラスの先生が1人1人の学習進度等を把握し、学習内容を日ごとに決めていきます。
教室がいくつかのセクションに分けられ、セクションごとに異なる内容の学習ができるようになっています。
子供たち自身が何を学ぶのかを考え、選んだセクションで学習をします。
また、教科によって学年はごちゃまぜになります。
例えば算数。
算数が得意な子供は年上の子供に混ざって勉強し、その逆もあります。
また、ニュージーランドの小学校では「発想力」と「思考力」を鍛える時期と考え、知識の反復練習はそれほど行いません。
算数の授業でも、九九を覚えたり計算ドリルをやることはありません。
ここで、「13×8」を6歳の息子に聞いてみました。
ちなみに6歳は日本でいう幼稚園年長さんなので、九九を知りません。
知っているのは、「13が8ある(8が13ある)」ということだけです。
指を使いながら頭の中で考えます。
以下の手順で答えを出したようです。
13×5⁼65
65‐5⁼60(10の位と1の位を分ける)
13×3⁼39
39‐9⁼30(10の位と1の位を分ける)
60+30⁼90(10の位同士を足す)
5+9⁼14(1の位同士を足し、また10の位と1の位を分ける)
90+10⁼100
100+4⁼104
答えが正解かどうか以上に、どうやってその答えに辿り着いたのかをクラスで発表し合います。
1人1人は皆違って、いろんな見方や考え方があることを子供たちが学びます。
ニュージーランドでは生まれてすぐ、
We are all different and that's beautiful.
(私たちは皆違う。それは本当に素晴らしいこと)
という環境の中で育ちます。
算数の授業は、自分の考え方や見方を発表する場でもあります。
人によって違う考え方や見方があるということを、子供の頃から学んでいます。
自分ならではの意見を持つことは、自分ならではの生き方を探す原点になるのではないでしょうか。
日本の場合、子供であってもできるだけ模範解答を答えようとしますよね。
模範解答が答えられる、模範となる生徒である、模範となる生き方をしようとする日本の子供たちは。もしかしたら子供ながらにもストレスを抱えているかもしれません。
ニュージーランドではどんな考え方でも受け入れられる為、先生が質問をするとほぼ全員の子供が真っ先に手をあげます。
宿題の違い
宿題はほとんどありません。
家に帰宅したら、家族との時間が最優先です。
お弁当の違い
給食はありません。
お弁当に加え、スナックとフルーツを持参します。
ほとんどの学校では、ピーナッツ持参が禁止されています。
ピーナッツアレルギーの子供への配慮です。
モーニングティーではスナックを、フルーツブレイクではフルーツを、ランチタイムにはお弁当を食べます。
服装の違い
どこの小学校にもスクールユニフォームがあります。
ユニフォームのトップスはポロシャツが一般的です。
夏は上にジャージを羽織り、冬はフリースタイプの上着を着ることが多いです。
ボトムスは指定の色さえ守れば短パン、長ズボン、スコート(股で分かれているスカート)何を履いても大丈夫です。
靴下は色が指定されていることが多いですが、靴は自由です。
登下校の違い
日本の小学生が1人で登下校しているのは、海外ではかなり驚かれます。
ニュージーランドでは、14歳未満の子供は保護者の付き添いが必ず必要になります。
これは法律で決められており、子供が1人で登下校することは法律違反になります。
よって、スクールバスで帰宅しない子供に関しては、親が送り迎えをします。
子供の通学手段は、歩き、マウンテンバイク、スクーターが一般的です。
時間割の違い
息子の小学校では、以下のような時間割となっています。
8:30 | 校庭オープン |
9:00~11:15 | 学習タイム |
11:15~11:30 | 食事の時間 |
11:30~11:50 | 遊びの時間 |
11:50~13:15 | 学習タイム |
13:15~13:45 | 遊びの時間 |
13:45~14:00 | 食事の時間 |
14:00~15:00 | 学習タイム |
15:15 | 校庭クローズ |
9:00~11:15の間に、モーニングティーを挟みます。
1日に2~3回、軽食や食事をする時間があります。
15時に学校が終わり、先生も皆帰宅します。
ニュージーランドの幼児教育「テファリキ」とは?
小学校に上がる前から、ニュージーランドの子供たちは「テファリキ」という幼児教育を受けてきています。
テファリキはマオリ語で「縦横に織り込まれた敷物」の意味です。
マオリ語はニュージーランドの先住民マオリ族の言語で、ニュージーランドでは英語と同様に公用語となっています。
ニュージーランドは多民族な国です。
この「テファリキ」という言葉には、どんなバックグラウンドの子供でも乗れる敷物、という意味が込められています。
ではこの「テファリキ」、どういった教育法なのでしょうか?
テファリキには、4つの原則と5つの要素があります。
【Holistic Development】幼児教育は、子供が学び成長していく全体的な在り方を反映する。
【Family and Community】家族やコミュニティといった広い世界は、幼児教育に必要な要素
【Relationships】人、場所、物との関わりから学ぶ。
【Belongings】子供や家族が安心し、仲間意識を持っている。
【Contribution】子供1人1人に価値があり、社会に必要だと気付かせる。
【Exploration】様々なことを試したいという探求心から学ぶ。
【Communication】自分、そして他者の文化の言語や象徴が育まれ、守られる。
ニュージーランドでは、この「テファリキ」を1996年に導入。
子供の社会的、文化的な学びや様々な人との関わりを重視し、子供たちの個性を伸ばす教育方針です。
例えば日本の場合、幼稚園(もしくは保育園)では年齢ごとにクラスが分かれていますよね。
「この年齢ではこういったことができるように」と、年齢によってできることを区分していきます。
ところがニュージーランドの場合、まずクラスがありません。
3歳から5歳の子供たちは同じ空間で過ごします。
部屋の中にはいくつかのセクションがあり、各セクションごとに様々な遊びが用意されています。
粘土、絵具、紙が置いてあったり、大工セットがあったり。
大工セットも危ないからといって排除することはありません。
挑戦させます。
遊びは学びの始まりと考えられており、先生が近くで見守ります。
子供たちは自分でセクションを選び、それぞれが興味のあることを学びます。
複数選択からの判断力や決断力を養うだけではなく、自分が何に興味があるのかを知るきっかけにもなります。
自分の興味があることを学べる環境は、個性を養う上でとても大切なことです。
また、違う年齢の子供たちが同じ空間にいることで、お兄ちゃんやお姉ちゃんが小さい子供の面倒をみることを当たり前のように学びます。
自分が3歳だった時に4歳・5歳のお兄ちゃん・お姉ちゃんが面倒を見てくれたから、自分が4歳・5歳になったら小さい子の面倒をみる、という考えが無意識のうちに身に付きます。
そしてそれは、小学校にあがってからも続きます。
小学校では、学力によって自分と違う年齢の子供と学習する場面がよく見られます。
ここでも大きいお兄ちゃん・お姉ちゃんが小さい子供の面倒を見ているのを見ると、とても微笑ましくなってしまいますよね。
実はこの「テファリキ」という教育方針、世界で注目を浴びているようです。
日本でも家庭に取り入れる方が増えているようですよ。
ニュージーランドと日本の小学校違い!まとめ

ニュージーランドと日本の小学校の違いを紹介しました。
日本は「皆と一緒のことができる」という教育ですが、ニュージーランドの教育は「個性を伸ばす」ことに焦点をあてた教育です。
他の誰かと違うこと、違う考え方、違う生き方は当然のことです。
生まれながらにして自分が自分であることを認めてもらえる環境は、何物にも代え難いですよね。
日本で違和感を感じながら生きているのは、大人だけではなく、もしかしたら子供も感じているのかもしれません。
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