グローバル化が進む社会で、子供に英語力や国際力をつけたいと考える親が増えてきていますよね。
日本の義務教育だけでは英語が自由に操れるようになる可能性は高くないですし、国際交流も限られるでしょう。
そこで、教育移住する人が増加しています。
日本ではお笑いタレントのオリエンタルラジオ中田敦彦さんが、家族でシンガポールに教育移住したことが話題になりました。
では、子供が海外で生活する場合、何歳から何歳までが良いのでしょうか?
時期は非常に重要です。
教育移住は家族の大きな決断ですので、しっかりと情報収集をしておきましょう。
ということで今回は、子供の教育移住について取り上げました。
子供が何歳から何歳までで期間はどれくらいがベストなのか?
また、教育移住のメリットやデメリットについても調べてみました。
目次
教育移住とは?

教育移住とは、子供により良い教育を受けさせるために移住することです。
日本国内での移住の場合でも、移住目的が子供の教育なら教育移住になります。
英語や多文化交流が目的で海外に移住する場合は、特に「海外教育移住」と呼ぶこともあります。
この記事では教育移住=海外への教育移住として解説します。
教育移住のメリット
1人1人違う子供、環境なので一概には言えませんが、教育移住のメリットは大きく5つあります。
・綺麗な英語の発音が身に付く
・多文化に触れることで視野が広くなる
・個性を尊重した環境で育つ
・得意なことを伸ばせる
・帰国子女枠で日本の学校を受験できる
1つ1つ見ていきましょう。
綺麗な英語の発音が身に付く
英語圏の国の現地校に通う場合、英語環境で学校生活を送ることになります。
子供は大人より語学学習能力が高いです。
幼少期に英語環境で過ごすことで、綺麗な英語の発音を身に付けることができます。
多文化に触れることで視野が広くなる
日本は単一民族国家ですが、アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・マレーシアなど、世界には多民族多文化国家も数多くあります。
日本では出会う機会のない人や文化に出会うことで、視野が広くなります。
また、日本を外から見ることで日本の良い点と悪い点に気付くでしょう。
外国人の友達ができるのも貴重な経験です。
年齢としては幼い方が、異文化を受け入れやすいと言われています。
個性を尊重した環境で育つ
海外では「個性」を尊重します。
幼稚園の頃から自分の考えをクラスで伝え合い、どんな意見も受け入れる環境があります。
自分が自分であることを受け入れられる為、自分と向き合う環境下で育ちます。
その中で自尊心も養われていきます。
日本では「協調性」や「同調性」が重んじられるあまり、他人に合わせようとしがちですよね。
幼い頃から皆と同じことを同じ進度でやりながら育つ環境下では、個性が育ちにくいのも仕方ありません。
得意なことを伸ばせる
海外の多くは、得意な分野を見つけ、その得意を伸ばす教育をします。
日本にはない「飛び級」もあります。
日本は詰め込み教育と言われ、苦手な科目も克服するように努力しなければなりません。
皆と同じ学習内容を同じ進度で勉強します。
ところが海外の場合、何が得意で何を勉強したいのかを決めるのは子供自身です。
自分の得意を極められる環境は、自分に対する自信にも繋がります。
帰国子女枠で日本の学校を受験できる
中学・高校・大学受験において、帰国子女受験を設けている学校があります。
入試時期や入試科目が一般受験と異なります。
一般入試では合格できそうにないレベルの学校に入れる可能性もあります。
ただし募集要項は各校で異なり、帰国後何年以内や海外滞在期間何年以上などの条件があります。
教育移住のデメリット
では次に、教育移住のデメリットについても見てきましょう。
・日本人としての価値観やアイデンティティが形成されにくい
・日本語が苦手になる
・日本での学習に復帰しにくくなる
・学費や生活費の問題
それぞれについて解説をしていきます。
日本人としての価値観やアイデンティティが形成されにくい
子供が海外での教育を受けた場合、日本の教育を受けた親と違う価値観を持つようになります。
これを個性として受け入れられる親の場合は問題ありません。
ただ中には、価値観の違いに戸惑ってしまう親もいない訳ではありません。
そんな親の影響もあり、子供が自分のアイデンティティに悩むこともあります。
日本語が苦手になる
1日の大半を英語の環境で過ごすようになると、次第に子供は英語でのコミュニケーションの方が楽になります。
いづれ日本に帰国するなら、家庭での日本語教育も大切です。
私はカナダの日本語補習校で教師をしていますが、週1回の補習校だけでは日本で暮らす人と同じレベルの日本語を習得するのは難しいです。
家庭での努力の差が顕著です。
日本での学習に復帰しにくくなる
日本帰国後に勉強についていけるかどうかは、教育移住のタイミングと帰国の時期が重要です。
これについては後述します。
日本の学校の方が学習進度が早く、算数は1~2年進んでいます。
また海外では計算機の使用が認められているので、計算が苦手な子も比較的多いです。
地理、歴史も学習内容が大きく異なります。
たとえ日本語ができても、つまづく可能性は大きいです。
学費や生活費の問題
英語圏の多くの国は、日本より物価が高い傾向にあります。
現地での収入があれば少しは楽ですが。
学費と生活費が賄えるのか、事前にシミュレーションをしておきましょう。
教育移住は何歳からが理想的?

デメリットで少し触れましたが、教育移住はタイミングも大事です。
語学や異文化を習得する為には、何歳から教育移住するのが理想的なのでしょうか?
もちろん個人差はありますが、語学を自然に習得できる年齢は7歳までと言われています。
人間は赤ちゃんの頃から、母語とそうでない言語を聞き分けています。
成長過程で母語の音をよりキャッチできるようになると同時に、外国語は聞き取れなくなります。
それでは早ければ早い方が良いのかというと、そう単純でもありません。
「バイリンガルに育てたいけど、いづれは日本に帰国する」というなら、日本語習得状況や日本での学習状況を考慮する必要があります。
母語である日本語もまだおぼつかない時に海外に行くと、英語習得にも影響が出ます。
言語そのものの概念が形成されていないと、英語習得にも時間がかかるのです。
日本語も英語も中途半端になる危険があります。
教育移住では「9歳の壁」が定説です。
日本でも海外でも小学4年生、つまり10歳から勉強が難しくなります。
それより前に海外に行くと、現地校の勉強に追いつくのは大変ではありません。
日本で9歳というと学校で漢字も習い始め、文章も書けるようになっており、日本語の基礎ができています。
英語を聞き取る耳もまだ残っており、英語習得も期待できます。
教育移住の理想は9歳前後と言って良いでしょう。
教育移住は遅くとも何歳まで?

7歳までには英語学習を始め、9歳で教育移住をするのが理想的です。
それに間に合わない場合、遅くとも何歳までに教育移住すべきなのでしょうか?
語学習得や異文化受容は個人差がありますが、遅くとも10歳までと言われています。
思春期に入ると母語でない音を自然と聞き取ることはほぼ不可能になります。
自然と綺麗な発音と正しい文法を身に付けたいのなら、10歳までに移住することをおすすめします。
それ以降は学校の勉強も難しくなります。
現地校の勉強についていくのも、帰国後に日本の勉強についていくのも大変になりそうです。
私の知り合いにアメリカからの帰国子女がいます。
彼女は11歳から14歳までアメリカにいましたが、英語をペラペラ話すことはできません。
2歳年下の妹はペラペラです。
たったの2歳ですが、脳が急成長する10歳までの2年は大きいのです。
他の帰国子女の知り合いで、10歳以降に海外生活をした人の中には英語が話せる人もいます。
科学的に英語を自然に身に付けられるアドバンテージは減っているはずなので、かなり努力したのでしょう。
教育移住におすすめの期間は?

教育移住はどれくらいの期間すべきなのでしょうか?
最近では短期の親子留学も増えていますが、言語習得というより経験と割り切った方が良いでしょう。
短期で習得できるほど、言語学習は甘くありません。
では、言語習得の為にはどれくらいの期間を海外で生活すべきなのでしょうか?
理想的である9歳前後で移住した場合、2~3年を目安として考えておきましょう。
1年目は英語を聞いて理解できるようになり、自分の言いたいことも言えるけれど文法はまだめちゃくちゃです。
2年目から文法が整ってきます。
3年目からは自信がついてきます。
9歳前後で移住して2~3年で日本帰国する場合、帰国時には小学校高学年です。
日本の授業についていけるよう、海外生活中も日本の学習進度に合わせて勉強しておくと良いでしょう。
教育移住は何歳から何歳までで期間は?まとめ

英語学習は7歳までに始めておきましょう。
教育移住は9歳前後から遅くとも10歳までで、期間は2~3年程度がベストと言えます。
一般的に幼い方が英語を自然に覚えるし、異文化にも馴染めると言われています。
ただ、子供によって個人差があることを忘れないで下さい。
教育移住のメリットとデメリットについても解説してきましたが、デメリットは親の努力次第で埋めることが可能です。
デメリットとメリットを天秤にかけても、子供にとっては圧倒的にメリットとなるでしょう。
多くの芸能人がこぞって教育移住する理由が頷けるかと思います。
教育移住にはその分の費用もかかります。
子供が小さいうち、もしくは子供をもつ前から家族で将来のビジョンを話し合い、計画を立てておくと良いでしょう。